婚活の会話はキャッチボール【前編】|聞き上手が好かれる理由と、相槌・質問のコツ
「何を話せばいいか分からない」「沈黙が怖くて、つい自分の話ばかりしてしまった」。お見合いや初デートの会話に、苦手意識を持つ人は少なくないです。婚活の会話で大切なのは、上手に話すことより、相手の話を受け取って短く返す「キャッチボール」です。前編では、聞き上手が好かれやすい理由を研究と調査で確かめ、相槌と深掘りの質問のコツ、最初に聞いていい話題をまとめます。
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この記事は前編です。人見知りの人のための練習法と、チャットAIを使った会話の練習のしかたは、後編:人見知りでもできる練習法でまとめています。
この記事のまとめ
- 相手の話を受けて「もう一歩聞く質問」をする人ほど、好かれやすいという研究がある
- 聞くだけ・話すだけより、交互に話す方が親しみが高まりやすい。話す量の目安は「相手6:自分4」
- 相槌・繰り返し・深掘りの質問の3つで、会話は続く
- 質問は軽い話題から。深い話は、自分から少しずつ
- いちばん大切なのは、取り繕うことより、相手を尊重する気持ち
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- 会話と好感について、研究と調査で分かっていること(男女別)
- 会話のキャッチボールの形と、話す・聞くのバランス
- 相槌と深掘りの質問の例
- 最初に聞いていい話題と、仲良くなってから聞く話題
- テクニックより大切な、相手を尊重する気持ち

こんな気持ちになっていませんか
- 会話が途切れるのが怖くて、気づくと自分ばかり話している
- 質問に答えるだけで、自分から話を広げられない
- 「話がおもしろい人」でないと、婚活では選ばれないと思っている
会話に不安を感じるのは、相手にいやな思いをさせたくない、という気持ちがあるからです。まず、相手が会話のどこを見ているのかを確かめてみましょう。
数字で見る:相手が見ているのは「話のうまさ」より「話しやすさ」
オーネットが25〜34歳の独身男女597人に聞いた調査では、異性の第一印象が良いと感じる瞬間として、「お互い会話が弾んだとき」「落ち着いて話を聞いてくれたとき」が男女とも約3割でした。第一印象で「声や話し方」が気になる人は、女性の方が多い結果でした(オーネット, 2025)。
| 相手の受け取り方 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 会話が弾むと好印象 | 32.0% | 30.2% |
| 落ち着いて聞いてくれると好印象 | 28.5% | 27.1% |
| 「声や話し方」が気になる | 30.7% | 40.3% |
(出典:オーネット「異性の第一印象に関する意識調査」2025年9月、インターネット調査。運営会社の調査で、日本全体の割合を示すものではないです)
IBJが婚活アプリ「ブライダルネット」の利用者1,889人に聞いた調査では、会うのをためらう相手の特徴は、男女とも「話が盛り上がらない」が最多でした。男性が「会いたい」と思うきっかけでは、「話をよく聞いてくれる」が716人(男性の回答者1,404人のうち)で2番目に多い回答でした(IBJ, 2025)。求められているのは、話の上手さより、「この人と話すと楽だな」と思えることだと考えられます。
マッチングアプリは18歳未満の方は利用できません(出会い系サイト規制法)。
研究で分かっていること:質問する人、聞いてくれる人は好かれやすい
① 「もう一歩聞く質問」が多い人は好かれやすい:初対面の2人の会話で、質問を多くするよう頼まれた人の方が、相手から好かれていました。効いていたのは、相手の答えを受けて聞く「深掘りの質問」で、相手は「話を聞いて、理解してくれる」と感じていました。スピードデートの会話の分析でも、深掘りの質問が多い人ほど「また会いたい」と言われやすい結果でした(Huang et al., 2017)。この論文は2025年に第三者の点検を受け、細かな数字の訂正はありましたが、結論は変わらないと報告されています。
② 聞くだけより、交互に話す方が親しくなりやすい:質問し合う課題で、交互にやり取りしたペアは、片方が話し続けたペアより、お互いへの好意や親しみ、楽しさが高くなりました。一方的な条件では、聞き役の方が話し手への好意を強く感じていました(Sprecher et al., 2013)。聞いてばかりで自分のことを話さないと、相手があなたを知る手がかりも少なくなるので、自分の話も短く添えることが大切です。
③ 人は自分のことを話したくなるもの:人が話す言葉の30〜40%は自分の体験や気持ちを伝えるためのもので、自分のことを話すと、脳の「報酬」に関わる部分が働くことが分かっています(Tamir & Mitchell, 2012)。つい自分の話が長くなるのは自然なことで、だからこそ相手に話す場をゆずると喜ばれやすいと考えられます。
④ 相手は、あなたが思うより好意を持っていることが多い:初対面の会話の後、人は、相手からの好意を実際より低く見積もりやすいことが分かっています(Boothby et al., 2018)。「うまく話せなかった」と落ち込んだ日も、相手はそう感じていないかもしれません。
どれも海外の実験で、婚活でも同じ結果になると約束するものではないですが、「質問して、受け止めて、自分も少し話す」という方向は、複数の研究でそろっています。
会話のキャッチボール:話す・聞くのバランスは「相手6:自分4」が目安
キャッチボールでは、受け取ったボールを、相手が取りやすいように投げ返します。会話でいうと、次の流れのくり返しです。
- 質問する
- 相手の答えを受け止める(相槌・繰り返し)
- もう一歩聞くか、自分の話を短く添える
- 「〇〇さんはどうですか?」と、ボールを相手に返す
話す量の目安は相手が6、自分が4くらいです。研究で決まった数字ではなく、当サイトの目安で、相手が話好きなら7:3、控えめなら5:5でも構いません。自分の話は「1〜2文で短く、最後に質問で返す」が基本です。「楽しみです」「うれしかったです」と気持ちを一言添えると、人柄が伝わりやすくなります。
相槌と深掘り質問のコツ
聞き上手に見える人がしているのは、特別な話術ではなく、次の3つの組み合わせです。
- 相槌(気持ちを受け止める):「そうなんですね」「それは楽しそうですね」
- 繰り返し(相手の言葉を返す):「キャンプが好きなんですね」
- 深掘りの質問(もう一歩聞く):「それで、どうなったんですか?」「始めたきっかけは何ですか?」
深掘りのコツは、相手の答えに出てきた言葉を1つ拾うことです。「週末は山登りをしています」と言われたら、「山登り、いいですね。最近はどこに行ったんですか?」と聞きます。反対に、答えを受け止めずに「趣味は?」「仕事は?」と次々に別の質問をすると、面接のように感じられやすくなります。1つの話題を2〜3往復ふくらませましょう。
いきなり相手を詮索しない:質問は軽い話題から順番に
最初は、休日の過ごし方、好きな食べ物、趣味、最近うれしかったことなど、誰でも答えやすい話題から始めます。IBJの結婚相談所のマナーでも、相手が楽しく話せる話題を選び、質問を3つほど準備しておくことが勧められています。お見合いでは、過去の恋愛や、相手の相談所、ほかの人とのお見合いの話に触れないのがマナーとされています(IBJ, お見合いと交際のルール&マナー)。
年収・貯金、勤務先や住所、家族構成の細かいこと、離婚の理由、体型や年齢などは、一般的なマナーとして、もう少し仲良くなってからにしましょう。結婚相談所では、年収や婚歴などはプロフィールや提出書類で先に分かることが多いので、会話で問いただす必要はないです。深掘りは「相手が話してくれたこと」の範囲にとどめ、答えが短くなったら軽い話題に戻ります。
大切:深い話は「自分から、少しずつ」
いちばん良いのは、深い話を相手が自分から話してくれることです。出てこない時は、聞き出そうとせず、あなたの方から少しずつ話してみましょう。人には、相手が自分のことを話してくれると、自分も話したくなる「自己開示の返報性(お返し)」という傾向があります(Sprecher et al., 2013)。軽い質問からだんだん深めて交互に話したペアは、世間話をしたペアより親しみが強くなったという実験もあります(Aron et al., 1997)。反対に、会話の最初の方で個人的な打ち明け話をした人は好かれにくかったという、参加者34人の古い実験もあります(Wortman et al., 1976)。一度に深く話しすぎると、相手は重く感じてしまいます。
- 最初の会話:「平日は事務の仕事をしています」
- 次に会った時:「最近は月末で少し忙しくて、帰りが遅いんです」
- 仲良くなってから:「将来は、家族との時間を大事にできる働き方にしたいと思っていて」
話した後は「〇〇さんはどうですか?」と軽く渡します。相手が答えなくても、話を変えても大丈夫です。
テクニックより大切なこと:相手を尊重する気持ち
相槌や質問は、「あなたのことを知りたい」という気持ちを伝えるための手段で、自分をよく見せるために取り繕う演技ではないです。日々の会話を記録した研究では、親しさが深まるのは、相手が自分の話を「理解して、受け止めて、大切にしてくれた」と感じた時でした(Laurenceau et al., 1998)。形だけの相槌では、この「受け止めてもらえた」という感覚は生まれにくいと考えられます。
- うそや無理な話の合わせ方はしない:興味のない話に「私も大好きです」と合わせると、会うたびに苦しくなり、いずれ相手にも伝わる。「詳しくないので、教えてください」と言えば十分
- 相手のペースを大切にする:話したくなさそうなことは聞かない。答えを急がせない
- 感謝を言葉にする:相手も、貴重な休日や仕事の後の時間を使って会いに来てくれている。「今日はお時間をありがとうございました」と伝える
上手に話せたかどうかより、相手を一人の人として大切に扱えたかどうか。それが、次も会いたいと思ってもらえるかどうかを分けるのだと、当サイトは考えます。
相手を尊重する。でも、無理に合わせる必要はないです。
一見、矛盾しているように聞こえるかもしれません。けれど、人生の伴侶を見つけるうえでは、とても大切なことです。好きでもないことを好きと言い、考えを全部相手に合わせて付き合いが始まると、結婚してからの長い毎日を、本当の自分を隠したまま過ごすことになります。それでは、どちらにとっても幸せとはいえないです。
結婚相談所大手のIBJが公表しているお見合いの調査でも、交際に進むかどうかは、男女とも、条件より「性格の相性」が重く見られていました(婚活総合サービス 株式会社IBJ「お見合い白書」2020年、お見合い41,744件の分析)。相性は、ありのままの自分を見せてはじめて確かめられます。
- 相手の考えは、否定せずに受け止める。「そういう考え方もあるんですね」
- そのうえで、自分の考えは、おだやかに伝える。「私は、こう感じることが多いです」
- 大事にしていること(家族、働き方、お金の使い方など)は、少しずつ、正直に話す
尊重とは、相手に合わせることではなく、相手の考えも自分の考えも、どちらも大切にすることです。違いが見えたら、それは失敗ではなく、二人が合うかどうかを知るための、大事な手がかりです。
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会話は、「あなたを知りたい」という気持ちから始まります。
気の利いた言葉が出てこなくても、相手の話に耳を傾けて、「それで、どうなったんですか?」と聞くだけで、知りたいという気持ちはちゃんと届きます。上手に話すことより、相手に興味を向けること。それは、今日から誰にでもできる、いちばん確かな会話の始め方です。
今日からできる小さな一歩
- 初対面で使える軽い質問を3つ決めて、スマホのメモに書いておく
- 家族や同僚との会話で、相手の答えに「深掘りの質問」を1つ重ねてみる
- 自分の休日・好きな食べ物・最近うれしかったことを、1〜2文ずつ考えておく
印刷して使える:婚活 実践チェックシート(清潔感の8項目・会う前の準備・笑顔の1分メニュー・会話の質問を1枚に)
同じ悩みの人向けの記事:人見知り・話すのが苦手/第一印象と笑顔の練習/プロフィールの作り方/あなたの状況から選ぶ
人と話すことへの不安が強く、日常生活がつらい時は、一人で抱えず、身近な人や、厚生労働省の「まもろうよ こころ」で紹介されている相談窓口に話してみましょう。出会いの中で、会ったことのない相手から投資やお金の話が出たら、詐欺を疑い、「#9110」(警察相談専用電話)か「188」(消費者ホットライン)に相談しましょう。
最終確認日:2026年10月3日
参考にした資料
- Huang, K., Yeomans, M., Brooks, A. W., Minson, J., & Gino, F. (2017). It doesn't hurt to ask: Question-asking increases liking. Journal of Personality and Social Psychology, 113(3), 430–452(APA PsycNet、2025年の訂正の案内つき)
- Sprecher, S., Treger, S., Wondra, J. D., Hilaire, N., & Wallpe, K. (2013). Taking turns: Reciprocal self-disclosure promotes liking in initial interactions. Journal of Experimental Social Psychology, 49(5), 860–866(DOI)
- Tamir, D. I., & Mitchell, J. P. (2012). Disclosing information about the self is intrinsically rewarding. PNAS, 109(21), 8038–8043(DOI)
- Boothby, E. J., Cooney, G., Sandstrom, G. M., & Clark, M. S. (2018). The liking gap in conversations. Psychological Science, 29(11), 1742–1756(PubMed)
- Aron, A., Melinat, E., Aron, E. N., Vallone, R. D., & Bator, R. J. (1997). The experimental generation of interpersonal closeness. Personality and Social Psychology Bulletin, 23(4), 363–377(DOI)
- Wortman, C. B., Adesman, P., Herman, E., & Greenberg, R. (1976). Self-disclosure: An attributional perspective. Journal of Personality and Social Psychology, 33(2), 184–191(PubMed)
- Laurenceau, J.-P., Barrett, L. F., & Pietromonaco, P. R. (1998). Intimacy as an interpersonal process. Journal of Personality and Social Psychology, 74(5), 1238–1251(PDF。Reis & Shaver, 1988 のモデルを確かめた研究)
- オーネット「異性の第一印象に関する意識調査」(2025年10月3日、PDF)
- IBJ「【婚活男女1,889人に調査】会うまで何日?世代で分かれる『出会いのスピード感』」(2025年9月17日、PR TIMES)
- IBJ「お見合いと交際のルール&マナー」(IBJメンバーズ公式サイト、2026年10月3日確認)
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」(相談窓口の案内)